あこや真珠の「調色」と「無調色」どちらを選ぶべき? 知っておきたい加工の真実と選び方
2025.11.23

「こちらは無調色のあこや真珠です。自然のままの色なので、調色よりも価値が高いんですよ」
真珠売り場でこんな説明を受け、どちらを選べばいいのか迷っていませんか?
実は、「無調色=高品質」という認識は、プロの間では大きな誤解とされています。
この記事では、一生ものの真珠選びで後悔しないために知っておきたい**「調色(ちょうしょく)」と「無調色(むちょうしょく)」の本当の違い**と、正しい選び方をわかりやすく解説します。
目次
1. 「調色」と「無調色」は品質ではなく“好み”の問題
まず結論からお伝えすると、調色か無調色かで、真珠のランク(品質)が決まるわけではありません。
両者の違いは、あくまで**「色の系統の違い」**です。
- 調色真珠: ほんのりピンク味があり、肌馴染みが良い(フェミニンな印象)
- 無調色真珠: 透き通るような白さが際立つ(クールで清楚な印象)
どちらが優れているかではなく、あなたの肌にどちらが合うか、という「好みの違い」なのです。
2. そもそも「調色」とは?実は日本が誇る伝統技術
「調色(色を調える)」と聞くと、「着色した偽物なの?」と不安になる方もいるかもしれません。しかし、これは誤解です。
あこや真珠は、貝から取り出した直後は「シミ」や「黄ばみ」を含んでいます。
そこで、真珠本来の美しさを引き出すために以下の工程を行います。
- ホワイトニング(漂白): シミや雑味を取り除く
- 調色: 漂白で薄れてしまった「あこや真珠特有のピンク味」を補う
つまり調色とは、お化粧(メイク)をして、真珠を最も美しい状態に仕上げてあげること。国内外の高級ブランドでも採用されている、正式な伝統技術です。
3. 「無調色」に潜むリスクと誤解
近年人気の「無調色パール(ナチュラルホワイト)」ですが、ここには知っておくべき注意点があります。
誤解:「無調色=何も加工していない」ではない
市場に出回る無調色真珠のほとんどは、実は「ホワイトニング(漂白)」処理は行われています。
「調色(ピンク味を足すこと)」をしていないだけで、全くの無加工というわけではないのです。
要注意:「無理やり無調色」のリスク
本来、調色をしなくても美しい「奇跡のような原珠」は、全体のわずか1割ほどしかありません。
しかし、無調色ブームにより、本来は調色すべき真珠まで「無調色」として販売されるケースが増えています。これには2つのリスクがあります。
- リスク① 黄ばみやすい: 漂白が不十分なため、数年後に元の黄色味が浮き出てくる可能性がある。
- リスク② 耐久性の低下: 色を白く見せるために過度な漂白を行い、真珠層が傷んでいる場合がある。
「無調色だから安心」と盲信するのは危険です。
4. 【比較】経年変化(劣化)はどう違う?
真珠は有機物であるため、長い時間が経てばどうしても変化します。
| タイプ | 経年変化の特徴 |
| 調色真珠 | 染料が表面を保護する役割も果たすため、色の変化が目立ちにくい傾向があります。 |
| 無調色真珠 | 素肌のような状態のため、真珠本来の経年変化(黄ばみなど)がそのまま現れやすい傾向があります。 |
※ただし、どちらも「元の真珠の品質」と「適切な加工」がされていれば、極端に早く劣化することはありません。
5. 後悔しないあこや真珠の選び方 3ステップ
スペックや言葉に惑わされず、本当に良い真珠に出会うための手順です。
ステップ1:ネットの情報より「試着」を信じる
真珠は、ケースの中で見るのと、首につけるのとでは全く印象が違います。
日本人の肌には「調色(ピンク系)」が明るく映えることが多いですが、色白の方には「無調色(ホワイト系)」が洗練されて見えることもあります。必ず鏡の前で合わせてみましょう。
ステップ2:テリ(輝き)を重視する
「色」よりも重要なのが、真珠の命である**「テリ(光沢)」**です。
調色か無調色かに関わらず、顔が映り込むほど輝きが強い真珠は、高品質である証拠です。
ステップ3:メリット・デメリットを話す店を選ぶ
「無調色だから最高です!」と片方だけを勧めるお店には注意が必要です。
**「無調色は透明感が素敵ですが、経年変化にはこういう特徴があります」**と、リスクも含めて正直に説明してくれる信頼できるお店で購入しましょう。
まとめ
- 「無調色=高品質」は間違い。
- 調色は、美しさを引き出す正式な技術。
- 大切なのは言葉の響きではなく、「テリ(輝き)」と「肌映り」。
10年、20年と愛用する真珠だからこそ、「流行りの言葉」ではなく、あなたの肌を一番美しく見せてくれる一本を選んでくださいね。




